ミノーのリップ付とリップレス

リップ付:HKTM85

リップレス:HRTM135A

リップやリップレスについて一応違いを書いておきたいと思います。

ユーザーが何をどうする為にそれを選ぶか?
という部分に対してその知識を補充するという意味で書いておきます。

そもそもリップの目的は水の抵抗である種の揺らぎを規則的に与える為に必要な部位です。
勿論、規則正しく動くものに全てついているわけではなく、例えばバイブレーションやシンペン等がそうです。
これらは後ろにできる渦流によって左右に振れています。

短辺方向に流していることでバイブレーションし、長辺方向に流すことによってシンペンの様に振れているわけです。

細かく振らせるには比重のハッキリした格差を利用しないとそれは意図した泳ぎにはなりにくく、例えばバイブレーションプラグを頭沈みではなく、水平もしくは頭浮きに作ろうとすればロールに逃げた様な製品以外はとても作るのが難しわけです。
そのあたりにリップ付に作るかリップ一体のボディにするか?で違いがでてくるわけです。

・双方の大きな違い

リップレスは基本ボディー側にリップが掻いた水を流すので規則正しくなりにくいです。
基本、後ろにできる渦流に引っ張られるのでリップレスと一言で言ってもリップ付に極めて近い形状のものが現在では多く販売されています。

内容的にはリップというのはリップ単体でその後ろ側にできる空間がキーとなって安定力を出しているわけで、リップレスもその理論を利用してリップ面がややボディラインより下側に出ているものが多いわけです。

そうなるとその境目をどこで判断するか?という部分すら今の時点であやふやです。
メーカーが一体型のルアーをリップレスといえばそれはある意味リップレスといわざるをえません。

リップレスの利点はノーマルではキャスト距離が長いというところです。
泳ぎの安定性の為にボディラインから少しは出ているけれどもリップ付に比べればかなり少ないです。
そのため回転しにくく飛距離が出やすい。

しかしデメリットもあります。泳ぎを安定させる為には前側に重りが必要になりやすいという部分です。
フックもあんまり大きくすると物よっては泳がなくもなります。
そうなると飛距離は思ったほどよくなりません。
またボディがリップの水かきの邪魔をするので、ぬるぬるした泳ぎにはなりますがキビキビとは泳ぎにくくなります。
ゆっくり曳くと唯の棒みたいなルアーになってしまいます。

一方、リップ付は細かい動きができる、潜行能力が高い、フックのサイズ変更をやってもかなりのサイズまで対応できる、などの利点があります。

泳ぐもので釣るという意味合いであればリップレスよりリップ付のほうが優れていると思います。

ビルダー側から言えば動きの質が出しやすい、泡をかんでもある程度我慢して泳ぎ安定が出しやすい等の利点があります。
勿論、スローでの揺らぎはかなり良いと思います。飛距離の面もある程度錘を後ろにしても泳ぐ為、リップがよほど立っていない限りある程度飛びやすいものが作れます。

重心移動の設定幅も泳ぎだしを犠牲にしやすいリップレスに比べて大きくとり易く有効な重心移動を作ることができると思います。
また発泡やウッドなどの浮力体で作れば細かいピッチの良いものを作ることができます。

ヒラスズキやシーバスなどで足場が高いトィッチやジャークを多用する場所であればリップ付のほうが使いやすく、低い足場やリトリーブもしくはシルエットのみであるならリップレスもよいと思います。

いざ現場に行ってみるとリップレスが良かったり、リップ付が良かったりと様々ですが基本的にはこういったメリットやデメリットがあるということを考慮して使って頂きたいと思います。

基本シャローで使うならリップレス、ジャークや荒れた海で使うなら同じサイズならリップ付かなと思います。